花粉対策・風邪予防・ファッション。
様々なシーンで活躍の場があるマスク。
正直僕だけなのかもしれないがある疑問がある。
それは、マスクを着用しているときの表情筋の活性化についてです。
皆さんは覚えがないだろうか?
マスクを着けて不織布に守られた奥で気づけば常に、
鼻や唇、アゴのポジションを調整し続けている。
さらには眉まで活性化し、マスクがなければ一人で
変顔百面相しているようなシュールな顔面状態。
「なんかめっちゃ顔周り疲れてる…」
「あれ、なんかほうれい線深くなってる感覚がある!?」
そんな不安や体験をマスクを着けたことのある人ならほとんど経験しているはずだ。
このことを野放しにしておいたら偶然に変顔の伸びしろが最高潮に達し、
マスク越しでも変顔とわかる瞬間を人に目撃され、
あらぬ噂を流されたり浸透しやすい耳触りの良い変なあだ名をつけられたり、
そんな不幸になる人が出るかもしれない。
そう考えると面白くていてもたってもいられなくなったので、
少しだけこの現象について考えてみようと思う。
マスクの種類として、
一般的なプリーツ式の不織布衛生用マスクを対象とします。
この不織布マスクの特徴から分析していきましょう。
⒈殆どが鼻筋部に形状を記憶する素材のものが埋め込まれているため、
万人の鼻筋をキャッチする。
なんならマイケルジャクソンもいける。
⒉面が蛇腹風に微妙に折り重なっていて、
広げた時のストレッチ性に優れ、
万人の口元をアゴまでカバーできる。
篠原信一も抑え込める。
⒊耳紐がソフトタッチな帯状になっていて、
耳の疲労感を軽減させる優しい形状になっている。
森本レオの声より耳に優しい。
⒋不織布は繊維が細かく、内外の微細な粉末なども
ほぼ遮断できる鉄壁の守り。
アレッサンドロ・コスタクルタとフランコ・バレージのタッグに匹敵。
まとめると、優れたフィット感と密閉性を持つ。
一見マスク自体には問題が無いようにに思える。
内外からの微粒子を防いだり、
すっぴんを隠したりするにあたってはほぼ完璧な構造といえる。
けどそれこそが重大な欠点だったことに気づいてしまった。
その密閉性こそが、表情筋活性化の起因になっていた。
密閉性を持つということは、
その内側に外とは隔離されたスポットがつくられるという事。
すなわち、地球上でもっとも自分を鼻孔で感じる場所。
普段あまり感じることのない自分の顔周りのフレグランス。
大多数の方がそれをいい匂いとは感じないでしょう。
けれど、不思議と癖になる。そうでしょう?
チーズ・納豆・ジビエ・シュールストレミング。
人間は匂いに心を奪われます。
五感の中でも目に見えないミステリアスな感覚。
マスクの下ではその欲求を満たす桃源郷が作り出されているのです。
人はその至福に抗えず、
無心に恥も外聞も忘れて表情筋を駆使し
一心不乱に無意識にそのクセを求めます。
それが、マスク着用時の表情筋活性化の正体です。
マスクの奥に隠された顔周りは聖域です。
不織布の向こう側、不可侵のサンクチュアリだ。
この、一枚隔てた向こう側ではこんな現象が世界各地で起こっています。
マスクをして変顔っぽい表情をしている人を見かけたら、
きっとその人もマスクの作り出した
桃源郷に陶酔していることでしょう。
そんな時は、あなたはなにを感じるのでしょうね。